COMMENT
リアルワインガイド84号より
≪今飲んで:92点 ポテンシャル:92+点 飲み頃:今~2045≫
21年は本当に各ACの個性が他のヴィンテージよりもよく表現されている。このワインは正にN・S・Gで、きれいな土と赤黒果実がエレガントに香る。口に含むとメチャ美味しい。レジョナルクラスの4アイテムに感心していたらやはり村名クラスが上。上には上がある。きれいな味は凝縮し、液体は滑らかでどこまでもエレガント。とても飲みやすいけど味には明確に芯がある。〈23年6月試飲〉
ブルゴーニュ全体の模範となるミシェル・グロ。それはACヴォーヌ・ロマネの模範でもある。
そしてこの21年ヴィンテージを試飲して思ったことは、毎ヴィンテージスタイルの模範でもあるということ。
1本目のACブルの香りをとり、口に含むと21年ヴィンテージの写し鏡のようなスタイルと品質だ。
ともかくエレガントでブルゴーニュしており、やや薄めの液体に味がギュッと詰まり、その味わいが凝縮している。
その味わいとは、適切なボリュームの果実味と熟して円くて美しく伸びる酸、濃くないので例年より表現されているミネラル感、まるでないかのように液体に溶け込んでいる柔らかいタンニンなどから生まれる複雑な果実味だ。
そしてそれらの各要素の調和がとれ、その結果として滑らかで柔らかくてみずみずしい液体の質感となっている。
また、各要素のバランスが良いから長く熟成する。
なんかまるで黄金のヴィンテージのような説明となっているが、実際そうなのだ。
いぜんもどこかで似たようなことを書いたけど、ブルゴーニュワインに強さや濃厚さを求める人には物足りないだろう。
しかし、ワインにエレガンス、バランスの良さ、ミネラリーさ、そして最も大切な美味しさを求める人には最高のヴィンテージだ。
ただし難しい気象状況から生産者間でクオリティに大きな差がある。
つまり天候の年ではなく、生産者の年。素晴らしいところ、フツーのところ、イマイチなところと造り手の技量にかかっている。
もちろんミシェル・グロは素晴らしいところであり、ワイン全てがいちいち美味しい。